第一回 マダガスカル島(1)

植生誌

■第一回 マダガスカル島(1)
 マダガスカル島はアフリカ大陸の南東約400kmにあるサツマイモの形をした世界第四の大きな島で、南北1500km、南西約400kmある。面積は58万704km2(日本の1.5倍)で、人口は940万人である。フランスの植民地から1960年に共和国として独立した。
マダガスカルの名の由来は、まずマルコ・ポーロがソマリア(アフリカの角といわれる地域)のモガディシュ地方のことを人伝に聞き、誤って『東方見聞録』にマディガスカルと記載したことに始まるもので、1500年にこの島を発見したポルトガル人(おそらく1498年、ヴァスコ・ダ・ガマ)が、誤ってマディガスカルと命名したことによると言われている。
 この島は、古生代から中生代に南半球にあったゴンドワナ大陸の分裂した陸地とされ、分裂したインド亜大陸の北上とともに広がってできたインド洋を約1億年かけて現在の位置に移動したと考えられている。隔離されて気の遠くなるような時間帯は、この島に生息する動植物に独自の進化をもたらしたのである。

バオバブ  Adansonia grandidieri

 植物の大半がこの島だけに分布し、700属800種以上の植物のうち、20%が固有属、80%以上が固有種で、9つの固有科が知られている。動物でも昆虫、爬虫類、鳥類などの固有種が多く、なかでもキツネザル類など原猿類の種類が多い。特徴的なのは、サル、ハリモグラ、こうもり以外の哺乳類がほとんど生息していないことである。
気候的には、インド洋に面した東海岸沿いは南洋からの貿易風で、2000mmから3000mmの降水量があり、熱帯降雨林が発達しているが、9月から11月は乾期でほとんど雨は降らない。首都アンタナナリーボのある中央高地は、南北に海抜900mから1500mの高原が続き、5月から11月が乾期、12月から4月が雨期で、雨量は1500mmから2000mmとなって、灌漑による稲作が盛んである。山岳部の棚田は日本の風景とそっくりである。モザンビーク海峡に面した西海岸の北部は雨量1000mmから1500mm、南部は1000mm以下のサバンナ気候で、バオバブの疎林は代表的な植生である。南部の500mm以下の内陸部には半砂漠地帯が広がり、固有のディディエレア科やパキポディウム属の植物が自生する。